日本とドイツのリサイクルに対する考え方の違い
〜リサイクル先進国ドイツの視察を通して〜 Vol.1

ドイツは世界的に見てもリサイクルに対する意識が高く、リサイクル大国と呼ばれる環境先進国家です。 今回は、ドイツ国内の大型リサイクル工場視察を通して感じた「日本とドイツのリサイクルに対する考え方の違い」をお話ししたいと思います。

日本のリサイクル – 品質と技術の重視

初回となる今回は、リサイクルにおいて両国が何を重視しているかという観点で考えてみましょう。

日本国内のリサイクルを端的に言い表せば「品質と技術」といったところでしょうか。未だ「メイド・イン・ジャパン」が高品質の代名詞となっているように、品質と技術に対するこだわりは静脈産業にも強く根付いていると感じます。

特に最近では、積層フィルムをそれぞれの樹脂ごとに再生利用するための剥離(delamination)や、インクを除去する脱墨(deink)など、廃プラをバージン材と同水準まで再生するための技術の研究が進んでいます。 高度な循環型社会の実現において、再生材の品質は極めて重要なポイントではありますが、厳しい品質基準によって資源生産性が損なわれているという側面もあるのかもしれません。

ドイツのリサイクル – 全体のリサイクル率向上を重視

一方ドイツでは、品質を追い求めるよりも全体のリサイクル率の向上を念頭に置いた枠組みが出来上がっているようです。

例えば、ドイツ国内で排出されるプラごみはまず各地のソーティング(選別)センターへ集められ、樹脂ごと、グレードごとに選別され、その用途に応じて最適に配分される仕組みになっています。 また、デポジット制度も広く普及するなど、ドイツは合理的な制度設計により廃プラの再生利用を推進することを最重要視しています。

確かに、ドイツ国内で流通しているプラ製品では「再生原料使用率100%」を謳っているものも珍しくありませんが、色ムラや透明度の低さ等、日本では受け入れにくい状態の製品も多く見かけられました。ドイツではそうした製品が、むしろ再生製品の証だということで好意的に捉えられているというから驚きです。

まとめ – 両国のリサイクルに対するアプローチの違い

簡単なコラムではございましたが、品質重視の日本、効率重視のドイツという両国の違いを感じ取って頂けましたでしょうか。

次回からは、日本とドイツの具体的な制度設計の違いや、文化的背景の違い等、より深掘りした内容をお届けしたいと思います。

次回に続く>>