異国カンボジアのゴミ問題と向き合う

昨年末、弊社の主力製品の一つである小型廃プラ再生装置「プラ洗ユニット」を、カンボジア首都プノンペンへ納入してきました。 現在、カンボジアでは経済発展に伴うごみ問題が深刻化しており、政府・民間を問わずこれに対処しようという動きが活発化しています。

今回は私が現地で目の当たりにしたカンボジアの環境問題についてお伝えします。

カンボジアはインドシナ半島に位置し、ベトナムやタイと国境を接する東南アジアの王国です。

人口は約1,600万人、東京都の人口が約1,400万人ですから、王国と言ってもそれほど大きな国ではありません。

年間を通じて気温30度を超える常夏の国ですが、12月はちょうど乾季の真っ只中ということもあり、爽やかで大変過ごしやすく感じました。

後発開発途上国リストにも載っている発展途上国であるものの、私の訪れた首都プノンペンは急速に開発が進み、ショッピングモールやビルの立ち並ぶ、まさに都市といった風情の地域もありました。

著しい経済発展の代償としてもたらされたのが環境問題、とりわけ深刻なのはごみ問題です。

カンボジア政府も様々な対策を講じてはいるようですが、カンボジアではごみを分別したり、袋に入れて決まった場所に捨てるといった文化が根付いておらず、道端にはポイ捨てされた様々なごみが散乱していました。空き容器、果物の皮、家電、バイク・・・特に目についたのがペットボトル等のプラごみでした。

街にはこういったものを集めてお金に換え生活する人々もいますが、到底集めきれるような量ではありません。

余談ではありますが、こうして集められたプラごみは、現地の買取人を通じそのほとんどが某国へ流れていくようです。

現代の日本人からするとびっくりしてしまうような光景でしたが、きっと戦後から昭和時代前半の日本も同じような道を辿ってきたのだろうと想起させる印象深い一コマでした。

ここ数年、カンボジア政府はテレビやラジオでごみの分別についての啓蒙活動を繰り広げており、そのひとつとして「濡れたごみ」と「乾いたごみ」を分別する取り組みが始まりました。 ごみを分別するという文化のない国にとって、濡れているか乾いているか、というのは実にわかりやすく効果的な分け方であるように思います。 すなわち、汚れのひどいものとそうでないものを分ける、というこの取り組みは、カンボジア国内のごみ問題の改善、ひいてはリサイクルの出発点となるような大きな一歩であると考えます。

実際に、プノンペンでは廃プラのマテリアルリサイクルに取り組む企業も存在し、弊社のプラ洗ユニットがその一端を担う機会を頂きました。 日本国内とは違い、工具や重機が満足にない中での大変な工事ではありましたが、弊社の機械が海を越え、この国のごみ問題の一助となるということは大変感慨深いものがありました。 SDGs(持続可能な開発目標)が「誰一人取り残さない」ということを原則としているように、弊社の製品が国や地域の隔たりなく、地球環境に貢献できるよう、これからも邁進していきます。