海洋プラスチック問題について -わたしたちができること- Vol.2

前回のコラムでは「プラスチックの歴史と急増」と「海洋プラスチックの影響」についてお伝えしました。今回は海洋プラスチックごみが海の生き物たちにどのような影響を及ぼしているのか? いくつかの事例とともに解説いたします。

海の生き物たちの悲劇

海洋プラスチックごみの現状と脅威

近年、海洋プラスチックごみは深刻な環境問題となっています。推定800万トン以上のプラスチックが毎年海に流出し、その量は年々増加しています。海洋プラスチックごみは、海に暮らす様々な生物に深刻な影響を与えています。

海洋生物への具体的な影響

◆誤食による被害

海に浮かぶプラスチックごみは、ウミガメや海鳥などの海洋生物にとって餌と見分けがつきません。彼らがプラスチックごみを誤食してしまうと、以下のような被害が発生します。

①消化器官の障害: プラスチックは消化されず、胃や腸に詰まってしまいます。これにより、栄養吸収が阻害され、餓死や栄養失調しまいます。これにより、栄養吸収が阻害され、餓死や栄養失調に至るケースがあります。

②内臓損傷: 鋭利なプラスチック片は、内臓を傷つけ、炎症や感染症を引き起こします。

③窒息: 気道に詰まったプラスチックは、窒息死の原因となります。

◆マイクロプラスチックによる被害

プラスチックは海中で劣化し、5mm 以下の小さなプラスチック片、マイクロプラスチックになります。マイクロプラスチックは、プランクトンや小魚に摂取され、食物連鎖を通じて大型の海洋生物にも蓄積されます。マイクロプラスチックによる被害には以下のようなものがあります。

①健康被害: マイクロプラスチックは、海洋生物の細胞や組織にダメージを与え、様々な健康被害を引き起こします。

②繁殖能力の低下: マイクロプラスチックは、海洋生物の繁殖能力を低下させる可能性があります。

③遺伝子への影響: マイクロプラスチックが海洋生物の遺伝子に与える影響はまだ十分に解明されていませんが、将来的に深刻な問題となる可能性があります。

具体的な事例

2018年: タイの南部で、小型のクジラの一種であるコビレゴンドウがビニール袋やプラスチック容器約8キロ分をのみ込んで死ぬ出来事がありました。弱った状態で海に浮かんでいるところを、地元の人が発見し、獣医やクジラの保護団体が投薬などをおこなったが回復せず、死亡したとのことです。

2019年: スコットランドで発見されたクジラの死体から、100kgものプラスチックが見つかりました。このクジラはまだ若く、餓死した後まもなく海岸に打ち上げられたようです。

プラスチックによる海洋生物への影響はこれらにとどまりません。グリーンピース日本の調査では、日本近海で採取したマアジやカタクチイワシの半数以上から、マイクロプラスチックが検出されるなど、深刻な状況です。海洋生物がプラスチックを食べたり体内に取り込んだりすることで、栄養失調や窒息、重大な健康被害を引き起こしています。

世界各地で発生している被害

上記の事例は、ほんの一例です。海洋プラスチックごみによる被害は、世界各地で日々発生しています。海に暮らす生物たちは、プラスチックごみによって命を落とし、生態系全体が脅かされています。

わたしたちが今すぐに行動を起こさなければ、海の生き物たちの生存が脅かされる事態が差し迫っているのです。

次回に続く>>