日本とドイツのリサイクルに対する考え方の違い
〜リサイクル先進国ドイツの視察を通して〜 Vol.2

前回に引き続き、今回もリサイクルに関する日本とドイツの比較をテーマにお話をしたいと思います。
前回のコラムでは、両国の違いを「リサイクルにおける考え方の違い」という観点から観察しました。
再生材の品質に重きを置く日本と、合理性と廃プラの循環利用推進を重要視するドイツ、という対比は、滞在中に最も印象に残ったポイントの一つです。

ドイツのリサイクルに関する制度設計

さて、第二回目となる今回は、ドイツのリサイクルに関する制度設計について触れてみたいと思います。

1995年に日本で制定された「容器包装リサイクル法(容リ法)」は、ドイツの「包装廃棄物政令」の影響を受けたものと位置付けられていますが、その中身を見てみると、興味深い違いがあります。

ドイツにおける容器包装材のリサイクルでは、まず日本の容リ協会のような役割を担うDSD社(その他数社)が容器包装を収集します。
その後、収集物は各地のソーティングセンターに送られ、材質ごとに選別され、その品質によって行き先が決まっていきます。
そう、ドイツの容器包装リサイクルの流れは冒頭から日本と大きく異なるのです。

このようなソーティングセンターがドイツ国内に170箇所ほどあり、その多くは民間企業によるものです。
彼らは民間企業として採算性を重視した運営を行うため、結果として収益性の高いマテリアルリサイクルの比率が高まっていくというわけです。

また、ドイツでは飲料容器のデポジット制度が法制度化されている点も日本と大きく異なります。
なんと、2022年1月からはドイツ市場に流通する0.1〜3.0Lの使い捨てペットボトルと缶の全てがデポジット制度の対象となっています。このデポジットシステムは、容器を洗浄し再充填できるリターナブル容器(リユース型)と、粉砕されリサイクルされるワンウェイ容器(リサイクル型)とに分類されており、リターナブル容器よりもワンウェイ容器のデポジット額は1.5〜15倍ほど高く設定されています。
これならば、スーパーでは自ずとリターナブル容器製品に手が伸びますし、ワンウェイ容器を返さずにはいられませんね。
実に合理的な制度設計であると感じました。

まとめ

さて、今回のコラムはドイツの事例の紹介が多くなってしまいました。
日本の容器包装リサイクル制度や、その他の法制度について気になった方は、ぜひご自身で調べてみて頂けたら嬉しいです。
次回は、リサイクルについての両国の文化的背景をテーマにコラムをしたためたいと思います。

次回に続く>>